「SPME-GCxGC-MSによるブドウの香気成分の分析」のアプリケーションノートです。

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揮発性成分はワインの特徴と品質を左右する最も重要な要素の1つです。いくつかの研究により、ワインの品種特性と、ブドウ及び果もろみの揮発性成分であるテルペノイド及び芳香族アルコールの関係性が認められました。揮発性成分はグリコシド結合体と遊離体、もしくはどちらか一方の形で存在します。これらの先駆物質はアグリコーンとしての香気成分を持つグリコシドと報告されています。
ワイン製造の際の酵素と酸、またはどちらか一方での酵素作用による処理中にそれらの成分が放出されることがあります。

この実験の目的は、ポルトガルバイラーダ地方原産の完熟後、粉砕されたFernao Pires 種 (白)及びBaga 種 (赤) の様々な揮発性成分の研究にあります。Baga は古代ポルトガルのワイン生産地域であるバイラーダ地方原産の中心的な品種です。この種は赤ブドウ園の92%、バイラーダのブドウ園全体の80%、合計で15,000 ヘクタールを占め、平均450,000 hL のワインを生産します。Fernao Piresはポルトガル全土に広がった品種であり、バイラーダ地方の白ブドウ園の70%にあたります。香り及びVitus vinifera の品種特性に与える影響の大きさから、揮発性モノテルペノイドとセスキテルペノイドには多くの注目が集まりました。

ブドウの揮発分は非常に複雑なマトリックスです。質量スペクトルの同定には良好なガスクロマトグラフ(GC)が不可欠です。包括的二次元クロマトグラフ(GCxGC)では、試料成分を一次カラムで分離した後、更に極性の異なる二次カラムで分離を行います。それにより、分解能が一次元GC に比べ飛躍的に向上します。飛行時間型質量分析装置(TOFMS)はフル質量スペクトルを測定し、NISTライブラリスペクトルとの比較に基づき、同定を行います。

詳細は、下記ファイルをダウンロードしてご覧下さい。

SPME-GCxGC-TOFMSによるブドウの揮発性成分の分析