「GC-MSによる保管条件の異なるIPAビールの香気成分の分析」のアプリケーションノートです。

キーワード:ビール、保存安定性、香気成分、アロマプロファイル、官能試験、SPME、GC-TOFMS、デコンボリューション、PCA

ビールの貯蔵安定性と、製品が経年変化や保管条件によってどのように変化するかは、製造業者と消費者の両方にとって重要です。時間の経過に伴うアロマプロファイルの変化を理解することは、その製品の賞味期限を理解するのに役立ちます。GC-TOFMSは、ノンターゲット分析によるアロマプロファイルを提供するため、このような調査に適しています。本アプリケーションノートでは、SPME法とPegasus® BT GC-TOFMSによる化学分析と官能分析を組み合わせて、保管条件と保存期間の関係をよりよく理解し、化学変化と官能試験の関連を調べました。
その結果、各サンプルから炭化水素、エステル、テルペン、アルコール、アルデヒド、ケトン、硫黄含有分析物、窒素含有分析物など、数百の化合物が検出されました。複雑なサンプルにおいては、成分が共溶出することが多くあり、クロマトグラムで分離不可能な成分が見られましたが、デコンボリューション機能により分離することが可能でした。
一部の成分はサンプル全体で一定か、保存時間や保管条件に関係のない変動がありましたが、他の成分は、時間と保管条件に応じて傾向を示しました。また、さらに他の成分では、時間と温度とともに増加することが観察されました。これらの成分の中には、デコンボリューションなしには検出することが難しいと考えられるものが含まれていました。
さらに、主成分分析(PCA)で全体的な化学傾向を調査した結果、保存時間と保管条件の依存性が明らかとなりました。また、化学データと官能データの比較を行い、各成分のピーク面積を官能スコアに対してプロットし、相関関係を計算した結果、同じ傾向を示す36の分析対象物のリストが得られました。フラン、メイラード反応生成物、ストレッカーアルデヒドなどは時間とともに増加し、エステルやテルペンなどは時間とともに減少することが確認されました。また、一般的に鮮度は保存時間とともに低下し、この劣化は低温保存と比較して高温保存の方が速い速度で発生することがわかりました。
官能試験とPegasus® BT GC-TOFMSによる化学分析により、官能試験の結果と関連する特定の香気成分が明らかになりました。

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詳細は、下記ファイルをダウンロードしてご覧下さい。

GC-TOFMSによるIPAビールの熟成を追跡するための化学的および感覚的データの相関関係