「GC-MSによるビールの醸造工程における香気成分の分析」のアプリケーションノートです。

キーワード:ビール、香気成分、プロセスモニタリング、SPME、GC-TOFMS、デコンボリューション

原材料がさまざまな段階を経て最終製品が生成されるときに発生する化学変化を追跡するプロセスモニタリングは、プロセスの最適化、最終製品の改善、プロセスの効率の改善をすることができます。食品および飲料製品では、プロセスのステップごとに関連するアロマプロファイルに明らかな変化が生じます。アロマプロファイルを構成する揮発性および半揮発性検体のモニタリングは、GC-MSにより行うことができます。
本アプリケーションノートでは、Pegasus® BT GC-TOFMSを使用して、ビールの醸造プロセスにおける煮沸前、煮沸後、発酵の開始時、発酵の終了時、およびビール貯蔵タンクの5つのポイントについて調べました。
サンプルはSPME法によりヘッドスペースから揮発性および半揮発性成分を収集された後、GC-TOFMSで分析されました。
その結果、エステル、テルペン、テルペノイド、有機酸、アルコール、アルデヒド、ケトン、フラン、芳香族、窒素含有、硫黄含有の化合物を含む何百もの成分がこれらのサンプルから検出されました。トータルイオンクロマトグラム(TIC)の比較によりサンプルの多くの違いはすぐに明らかになり、醸造プロセス全体で大幅な化学変化を示していました。
β-ミルセンは、ホップから抽出されるテルペンであり、「煮沸後」サンプルにおいて最高レベルで観察され、プロセスの残りの段階で徐々に低下しました。酵母菌の活動の産物であるエタノールは、酵母菌が添加された後の発酵中に増加しました。オクタン酸エチルは、発酵中に増加し、酵母の活性に起因すると考えられました。
酢酸イソブチルおよびα-ピネンはクロマトグラフィーで共溶出し、TICでは単一のピークとして表示され、このピークに傾向がないように見えましたが、XICは、テルペンが減少する一方でエステルが増加することを示していました。 ChromaTOFソフトウェアのデコンボリューション機能は、これらの共溶出化合物の傾向をみるために不可欠でした。
Pegasus BT GC-TOFMSによる分析によりこれら化合物に関する多くの傾向が明らかになりました。例えば、麦芽からのいくつかの成分は沸騰中に減少しましたが、ホップからの成分は沸騰中に増加しました。 エタノールは発酵中に増加し、 煮沸中に増加するエステルもあれば、発酵中に増加するエステルもありました。アロマプロファイルの変化を観察することで、プロセス全体で発生する化学変化を追跡することが可能でした。

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GC-TOFMSによるビールの醸造プロセスにおけるモニタリング